横浜市鶴見区の内科・循環器内科・呼吸器内科・アレルギー科

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全盲だからこそ弾くギター Dr.本多の新コラム No.26

~コラム担当Dr.本多~
倉田院長の東芝時代の同僚医師です。
全盲になって6~7年経ちます。
目は見えなくても医師の知見を武器に某検診センターで働いています。

『全盲でもギターを弾く』から『全盲だからこそ弾くギター』の世界へ!

今回は、このように私の意識を変えてくれたありがたい団体の礼賛記事です!

世代柄、ギターは中学から手にしていたし、大学時代は専門課程が始まるまで下宿のおばさんや、娘さんに大迷惑を掛けながら「アルファンブラの思い出」や「禁じられた遊び」の練習をしたものです。アルファンブラだけで1年もかかりました(笑)。当時受験を控えていた高3の下宿の娘さんにはかなりの迷惑だったはずです!
申し訳ないことをしました。

大学を卒業し自分で稼いだ金でアコースティックギターに替えたもののたいして上達せず、仕事も超忙しく結局家族のためのアウトドアライフに戻りました。青春の思い出のクラシックギターのほうは人に譲ってしまいました。

さて、視力に支障が出始めアウトドアが不可能になるともうギターも弾けないのではないかと凹んでいましたが、歌詞とコードさえ暗記してしまえばまだまだ弾けるんじゃないか?と。失明後の生きがいを探していた折、元職場同僚が胃癌の床に伏せってしまいました。闘病を打ち明けられて何もできず、リクエストされた「糸」を弾き語り、録音ファイルを送ったところ大変喜ばれました。この事をきっかけに「そうだ、これは頑張ろう!」と思い暗記する曲を増やしました。

そんな折、平野敬一郎の「 マチネの終わりに 」を聴き読みして気持ちのいい読後感に浸ることができました。(映画は見ていないのですが)映画にもなったというのでサウンドトラックで、テーマとなっているギター曲を聴いてみたくなりました。そこで映画の音楽を監修したというギタリスト福田進一先生のCD「マチネの終わりに」を購入し聴いてみるとすごく良かったのです!
その後、知ることになるのですが私が聴いたCDは映画化の前の録音であり実は映画で演奏されたメロディとは別物だったのでびっくりしました。こんなことがあるのだろうかと?

私が惚れたのは、テーマ曲「幸福の硬貨」という曲です。
「ああ、こんな曲を弾けたらなぁ!」
ともあれ、これが「またクラシックギターを弾いてみたい!」という動機となりました。しかし、もう「アルファンブラ」の運指も忘れてしまったし「禁じられた遊び」でさえ転調部分から後半を憶えていません。
せめて、昔弾けた曲だけでも弾けるようになりたい、何とか「幸福の硬貨」まで背伸びができれば最高だなと思いました。

さて、全盲でも弾けるのだろうか?
そうだ、5線譜楽譜は無理だとしてもタブ譜ならかみさんに助けてもらえるだろう!とタブ譜付の楽譜を買ったのです。ところが、かみさんは「老眼で見えないよ」と予防線を張って早々に戦線離脱し逃げられてしまいました。

タブ譜というのはご存知と思いますが説明しますと、6本の弦と数か所のフレット(ギターのネックに並んでいるハードルのような区切りのこと)を図示し押さえる左指の位置を●で示したものです。

僕は、各弦番号と押さえるフレット番号を数値で並べてテキストファイルにしてもらえば聴きながらの理解が可能だと思いつきました。そこで、昔の「視覚障害を持つ医療従事者の会」のサポーターで当時お世話になった知り合いさんに相談してみたところ、都合5社の連絡先を教えてくれました。
無論勝算があるわけではありません。タブ譜の数値化というのは従来には無い方法ですし、特別に頼むわけだからどう対応してくれるかは相手次第でした。さあ、吉と出るか凶と出るか?運を天にまかせ、上から順番に相談メールを出してみました。

残念ながら、1から4社目までは「タブ譜には対応できません」とにべもなく断わられました。しかし第5番目の団体さんは違いました。私の希望を検討してみたいとの返事をいただきました。
この「神の救い」のようなサポーターさんは「ビー・ミュージック 」といい「ビースコア」という視覚障害者と点訳者をつなぐ音楽ソフトを開発・販売・サポートしている法人さんでした。対応楽器は、ピアノ・バイオリン・ギター・フルート・声楽など楽器の種類を問わないとのことです。代表は村上恭子さんとおっしゃる方です。
また「 アダージョ 」という楽譜点訳ボランティア団体さんが、連帯的に活動されています。

私のお願い内容はこれまで請け負ったことのない注文だったらしいのですが、プロミュージシャンのなかに「ギター陣」の方がいてどこまで出来るかやってみようじゃないか?!と言ってくださり大変感激しました。 その方は、風智案(ふうちゃん)さんという方です。
お願いした30曲にも及ぶ依頼を僕のPCで読ませやすい方法、また持ち歩きアイフォンでも読ませやすい形式に合わせてくれるよう何度も丁寧にご対応くださいました。

やりとりを始めてから1か月もなくほぼ8割は完成、続々と変換されたデータを送っていただいています。
私は失明しながらもなんだかほんとに運がいい!!
世の中は新型コロナでの変異株でますます暗く沈んでいますが筆者の「音楽生活」は順風満帆のようです!

みなさん、ご家族・親族、お知り合いに視力の落ちた人がいて落ち込んでいたら、音楽の道をアドバイスしてあげてください。遅いことはありませんし、確かに音楽鑑賞するだけでも楽しいことですが、自分で演奏することはもっともっと深く楽しいものです。それだけで、生きられます。
見えなくても、音楽がある。ピアノでもギターでも木管でも金管でもバイオリンでも、楽譜を読む方法はあるのです。点字楽譜が読めなくても必ず方法はあります!私たちのような中年以後の中途失明では、いまさら点字や点字楽譜を使いこなすことは無理です(笑)指先のセンサーがぼろぼろですからね。

「音楽は、盲人にこそ!救いです」盲人にこそ!!ですよ。ギター

★Be-MUSIC (ビー・ミュージック) :楽譜点訳ソフト 開発・販売・サポート
代表 村上恭子
URL: http://www.be-music.jp
★アダージョ (楽譜点訳ボランティア団体)
URL: http://tenji-adagio.com/