横浜市鶴見区の内科・循環器内科・呼吸器内科・アレルギー科

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こんにちは、ドクターHONDAです

春めいてきましたこの頃、コロナは穏やかな社会的ムードを醸し出しています。油断大敵だとは思うのですが世界は戦争や物価上昇、経済見通しも不明で落ち着きません。

 こんな中で、青少年たちに 「夢」 を語るのは難しく、WBCやサッカー、音楽・アニメなど、応援しがいのあるジャンルはせめてもの 「夢」 であってほしいものですね。

 ラジオで聞いたことなので恐縮ですが、米国のある経済学者が日本の現在10歳未満の児童は、英語、中国語、スペイン語のうちどれかにひとつでも精通し将来は移住を考えておかないと、2050年以後、生活を保てないのではないか?とおせっかいな指摘をしていました。 ある程度耳を傾けないといけないかどうかはこの先3年ほどでわかりそうです。

 話は変わりますが私の仕事は、労働分野での働く人のこころとからだの健康確保に関わるものでした。

 2000年を迎えた頃メンタルヘルスの注目度が高まり、いま50人以上の企業で法的義務となっている年に一度の「ストレスチェック」につながりました。質問票は、米国の「職業性ストレス簡易調査票」を導入したものが骨子となっています。 これはカラセク博士が提唱された仕事ストレスと心筋梗塞の発症頻度を評価したものを土台に、心筋梗塞を精神的ストレスに置き換えたものです。 

考え方はこうです。

 仕事ストレスは、仕事の要求度(たいへんさ)=demand、作業における裁量度(自分で作業ペースや手順を決められる)=controle、そして職場上司や同僚、家族からの支援(心的、物的手助けが得られる)=supportの三要素を総合し採点したものです。 これを、頭文字を取ってカラセク博士のDCSモデルと呼んでいます。

 ここでは、同じ作業量、同じ要求度であっても自分で作業プロセスをコントロールできればストレス負荷を減量できると信じられています。私も、21世紀始まった頃これに疑問を持たず信じたのですが、昨今、吾々日本社会でははたしてその「裁量度の向上」がストレス軽減に繋がるのか?と疑問を感じています。

そもそも子供たちに、自主性とか個性尊重を本当に大切にする「教育」が為されてきたのでしょうか?

よく話題になる行き過ぎた校則、無くならない同調圧力、いじめ問題、昔ながら軍体調の運動部体質、事なかれ主義の教育界、卒業して会社に入れば「指示待ち人間ばかり」と人事を嘆かせながら結局上意下達で、ボトムアップのアイデアが生かされない職場風土、これでは「裁量性」はとまどうばかりのヒナたちの切ないストレス増加になっていないだろうか? と暗澹たる気持ちになるようになりました。 つまり採点法は事実を取り違えていないだろうか?という疑問です。

 職場のメンタルも、家庭のメンタルも、ひとひとりひとりの、事情が「みんな違って、みんないい(金子みすゞ」のではなく「みんなたいへん」なのだという個々への聴き取り、共感が大事なんじゃないかなぁと思うこの頃であります。

 ひょっとすると「同調圧力がないとどこへ向かって歩いていいかわからない、皆と同じ方向を向いていたい、その方が安心」というような若者を大量に歓迎育成してしまったのではないか?

 それゆえ、SNSで自己主張を試みる若者は規則や常識の逸脱方向にふざけてみせ、弱者バッシングのような目立ち方に誘惑されるのかもしれません。

 ただ、ひとつの事に集中すると他は見えなくなる、いわゆる「発達障害」や、「HSC/HSP(Highly sensitive child/ person)」が話題になるということは、もしかしたら新しい「救い」なのかも知れないと思うのです。「発達障害」は「障害」ではな、「発達特性」と言うべきではないかと思うのです。

 専門分野でもないのに話題がバラバラになってしまい失礼しました。育てにくいお子さんこそ「宝物」かもしれないと言いたかったのです。

2023年3月15日  本多伸芳